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掲載日2021.09.02
2021.09.02

マイナス196℃の冷たい世界(解説編)

(実験編)は科学館のYoutubeで見ることができます。
こちら→「マイナス196℃の冷たい世界(実験編)」



今回実験に使ったのは、液体窒素(えきたいちっそ)です。科学館のサイエンスショーに毎年登場する人気者です。「窒素」という物質の名前を聞いたことがある人もいるかもしれません。空気中にいちばん多く存在していますが、ふだんは無色透明な「気体」で、目に見えない状態です。窒素をうーんと冷やすと、「液体」という、水のような状態になり、目に見えるようになります。どのくらい冷たいかというと、およそマイナス196度!今回はこのとっても冷たい液体窒素の中に色々な物を入れるとどんなことが起こるか実験しました。

★考えてみよう

実験1
・白い煙の正体は何?
液体窒素のまわりからモクモクと出てくる白い煙のようなものは、窒素・・・ではなく、「水」なのです。空気中の水蒸気が冷やされて、小さな水や氷のつぶになったものに光が当たり白く見えています。

・ぶくぶくと泡が出ているのはなぜ?
おうちの台所で同じようなものを見たことがありませんか?お鍋のお湯がぐつぐつとふっとうしている様子と似ていますね。これは、液体窒素がふっとうしている様子です。
水は100度でふっとうしますが、液体窒素はマイナス196度でふっとうします。とっても冷たい液体窒素にとっては、室温や容器はものすごく熱いのです(この日の気温は20度くらい)。容器に入れると激しくふっとうし、やがて液体窒素に冷やされた容器も十分に冷たくなるとふっとうがおさまりました。
ちなみに、水は0度で氷(固体)になりますが、液体窒素はマイナス210度まで冷やすと固体になります。物質によって、ふっとうする温度や固体になる温度はさまざまです。



実験2
・どうして風船は変化したの?
風船の中に入っているのは空気です。空気中の成分は窒素と酸素が多く占めていますが、マイナス196度ではそのほとんどが液体になります。空気が冷やされて気体から液体になるとき、その大きさ(体積)は小さくなります。そのため、風船はしぼんでしまいました。風船を液体窒素から取り出すと、温度が上がります。風船の中の空気は温められて液体から気体になり、体積は再び大きくなります。風船はふくらんだ形に戻りました。

実験3
・白い粉の正体は何?
二酸化炭素を液体窒素で冷やしてできた白い粉の正体は、なんとドライアイスです。ドライアイスは気体の二酸化炭素を固体にしたものなのです。取り出したドライアイスは少し時間がたつと見えなくなってしまいました。これは、二酸化炭素が固体から液体にならず、直接気体になる性質があるからです。そのため、温度が上がっても、しばらく物をぬらさずに冷やしておくことができ、アイスクリームや冷凍食品などを運ぶ時に使われます。

実験4
・液体の中で火が燃え続けたのはなぜ?
映像ではちょっと見えにくかったですが、試験管の底に液体がたまっていたのがわかりましたか?火に水をかけると消えてしまうのに、液体の中で火が消えなかったのはふしぎですね。あの液体は「液体酸素」といって、文字通り酸素が液体になった状態です。酸素をマイナス183度まで冷やすと気体から液体になります。酸素は物が燃えるのを助ける働きがあるため、線香の火を近づけると激しく燃えました。
この液体酸素は、宇宙へ飛び立つロケットのロケットエンジンにも使われているんですよ。



※危険な実験なので、おうちではマネしないでください。
科学館では安全にみなさんに楽しんでもらえるよう工夫して実験を行っています。サイエンスショーが再開したら見に来てくださいね。