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掲載日2020.12.27
2020.12.27

「おうちでミュージアム」科学のお話 木星と土星の”超”大接近!?

(1)2つの惑星:木星と土星

最近、太陽が沈んでいくころ、南西の空にとても明るい木星が目立っていますね。だんだんと空が暗くなってくると、木星のそばに少し暗めの土星が輝いていることも分かります。

夏ごろから少しずつ近付いていた2つの惑星は、12月21日には最も近付いて見えました。図1は、12月15日から12月22日までの木星と土星の写真です(19日は曇り)。こうして並べると、2つの惑星が近付いていく様子がよく分かりますね。特に21日の夕方は、肉眼で見ると1つの星に見えるほどでした。


図1 木星と土星が近付いていく様子(より明るい方が木星)


(2)惑星同士がぶつかったりしないの?

ところで、こうして惑星同士が近付くと、ぶつかってしまう危険はないのでしょうか?

惑星には、それぞれに太陽の周りを周る通り道(公転軌道)があり、決まった周期で一周しています(公転周期)。惑星の公転軌道は交わっていないため、惑星同士がぶつかることはありません。
一方、公転周期は惑星ごとに異なるため、ある惑星がほかの惑星を追いかけたり追い抜いたりします。こうして惑星同士が接近することで太陽から同じ方向に見えることを「会合」といいます。このとき、地球では同じ方向に2つの惑星が見えたり、時にはまるで惑星同士が重なるくらい近付いて見えることがあります。
今回の木星と土星の接近も会合によるもので、夜空ではぶつかるほど近付いて見えたものの、実際の距離は離れているのです(図2)。

惑星の会合には周期性があり、木星と土星は約20年ごとに近付きます。ただ、2つの惑星の公転軌道面は少し傾いていますので、会合の位置によってはやや離れて見えます(図3)。特に、今回ほど近付くことは珍しく、約400年ぶり(1623年以来)のこととなります。とはいえ、1623年の会合は太陽に近く、望遠鏡もまだ普及していなかったので、当時はあまり観察できなかったかもしれません。次に今回と同じくらい木星と土星が近付くのは、60年後の2080年とされています。


図2 木星と土星最接近時の位置関係(12月22日午前3時17分)


図3 会合時の見かけの距離が変わる様子


(3)夜空を眺めてみよう

木星と土星は、最接近を過ぎた今でも、夕方の南西の低空に並んで見えています。同じ時間帯の南の空の高くには火星が、明け方の東の低空には金星が見えてきます。離れていく木星と土星を観察したり、夜空に散らばる惑星や星たちの共演を楽しんでみましょう。


おまけ

腕をまっすぐ伸ばした先で五円玉をかざすと、五円玉の穴に満月がぴったり収まって見えます(約0.5度)。たとえば、12月17日の木星と土星の距離は、ちょうど満月の大きさと同じくらいでした(図4)。このように身近な道具を使って観察してみても面白いかもしれませんね。


図4 12月17日の木星と土星の距離を五円玉で比べてみると…?