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掲載日2018.01.19
2018.01.19

2018年1月31日(水)皆既月食を見よう!

1月31日、広島で皆既月食が見られます。前回2015年4月4日は、雨のため観察できませんでしたので、その前の2014年10月8日以来、およそ3年ぶりとなります。
月食は、満月が地球の影に入り、月に太陽の光が当たらなくなる現象です。中でも、地球の影の中に月が完全に入ってしまうのが、皆既月食です。


図1:太陽・月・地球の関係

地球の影に完全に入ってしまうのですから、月に太陽の光が当たらなくなり、見えなくなるように思えてきますが、実はその時、月は「真っ赤」になります。真っ赤と言っても満月の明るさよりはずっと暗く、赤銅色(しゃくどういろ)などと言われたりもしますが、これは地球の大気により太陽の光が屈折して影の中に回り込み、月をうっすら照らすために起こるもので、地球の大気の影響で赤い成分の光だけが月に届くため、赤く見えるのです。


図2:2011年12月10日の皆既月食

皆既月食では、月の形の変化と皆既中の色に加えて、星空の変化にも注目しましょう。欠け始める前の満月の光はとても強いので、夜空がかなり明るくなり、星が見えにくくなっています。そこから次第に欠けていくと、月の明るさがだんだんと弱くなり、皆既状態になると月が無い時と同じくらいに星が見えるようになります。さらにその後、再び月が元に戻っていくと、暗い状態になれた目には月の光がいっそう強く感じられます。星空や周囲の変化は、街明かりの少ない地域のほうがわかりやすいでしょう。
月食の観察は、特別な機材が無くても十分に楽しめます。もし、双眼鏡や望遠鏡があれば、月に向けてみましょう。月の変化がより分かりやすくなります。


2018年1月31日の皆既月食

欠け始め:20時48分
皆既開始:21時52分
皆既終了:23時09分
月食終了:24時12分


図3:皆既中の様子

さて、今回3年ぶりの皆既月食ですが、では次回はいつかと言いますと、なんとたった半年後の2018年7月28日なのです。本文のはじめに書きましたが、前回は2015年4月4日で、その前は2014年10月8日と、このときも、およそ半年で再び皆既月食になっています。この「半年」には、実は大きな理由があるのです。


図4:月の軌道の傾きと月食

地球から見て、月が太陽と反対側に来たとき、月は満月になります。図1にあるように、その時に地球の影に入れば月食になるのですが、満月の日はおよそ30日弱ごとにやってきますので、すると月食は毎月のように起こるように思えてきます。ですがもちろん、そんなことはありません。それは図4のように、地球の周りを回る月の軌道が傾いているからなのです。このため満月のとき、たいていは地球の影の上や下を通過し、太陽の光がきちんと月に届くわけです。ところが、赤い線の位置では事情が変わってきます。この位置では、太陽と地球と月はちょうどぴったり一直線に並びます。すると、地球の影がぴったり月に重なり、これによって月食が起こるのです。さらに、地球は太陽の周りを1年で一周していますので、半周するのには半年かかります。ですので、反対側の赤い線上に到達するのにはおよそ半年かかります。つまりこれによって、半年間隔で月食が起こることがあるのです。ちなみに今回の半年前、2017年8月8日に部分月食がありました。昨年の夏から今年の夏にかけて、半年間隔で立て続けに3回の月食が起こるのです。

太陽も地球も月も、私たちにとっては巨大な存在ですが、広大な宇宙の中ではとても小さな存在です。上記の図では説明のためかなり大きく描いています。そんな地球の影は、宇宙ではとても小さなものですが、それがやはり小さな月に見事重なったとき、月食が起こるのです。広い宇宙で繰り広げられるダイナミックな天体の動きを思い描きながら、そこから紡ぎだされる繊細な天文現象を味わってみましょう。

皆既月食の様子をライブ配信します!!

当日、皆既月食の様子をインターネットでライブ配信します。中継の映像で月の変化の詳しい様子を見ながら外で観察すれば、楽しみが2倍に!!

ライブ配信サイト:YouTube (https://www.youtube.com/watch?v=OIpnmOP7r-k)